ニキビ跡は種類によっては完治が可能なものもあります。
ニキビ跡の改善には、自分のニキビ跡がどのタイプなのかを知る必要があり、そのタイプに適した治療や正しいケアを行うことが重要になります。
この記事ではニキビ跡の種類から、自然治癒までの期間、ニキビ跡の改善に効果的な治療法まで詳しく紹介していきます。
ニキビ跡は完治する?自然治癒の可能性と治療法を詳しく解説
この記事を読んでわかること
- ニキビ跡には色素沈着、赤み、クレーターの3種類があり、それぞれの特徴や発生原因が異なります。炎症や肌のダメージがきっかけで形成され、肌の再生過程で跡が残ります。
- 軽度の赤みや色素沈着は肌のターンオーバーによって改善が可能ですが、深いダメージやクレーターは自然治癒が難しく、美容治療が必要な場合があります。
- ニキビ跡の改善には、摩擦を避けた保湿ケアや紫外線対策が重要です。さらに、専門治療ではケミカルピーリングやダーマペンなどがニキビ跡の改善に効果を発揮します。
目次
ニキビ跡とは何か?その原因とメカニズム
ニキビ跡にはいくつか種類がありますが、その原因やメカニズムについて解説します。
ニキビ跡の種類と特徴
ニキビ跡には、「色素沈着タイプ」「赤みタイプ」「クレータータイプ」に分けられます。
色素沈着は、ダメージを受けた肌にメラニン色素が定着してしまった状態です。
紫外線やニキビによる炎症などの刺激から肌を守るために、メラニンを生成するメラノサイトが活発になります。メラノサイトが活発になることでメラニンが生成されますが、本来であれば肌のターンオーバーによってメラニンは自然に排出されていきます。ところが、肌のターンオーバーが乱れていたり、排出する速度を上回ってメラニンが生成され続けることで色素沈着となって肌に定着します。
赤みのあるニキビ跡は、まだ炎症が残っていたり、繰り返す炎症によって血管拡張が起こり赤く残ってしまっていたりします。
クレーターは、ニキビの炎症や悪化したニキビによって、その周りの皮膚の組織が壊されることで、デコボコとしたクレータータイプのニキビ跡ができてしまいます。
ニキビ跡ができるメカニズム
ニキビ跡は、ニキビによる肌の炎症や、その周辺組織のダメージが修復される過程で、正常な再生が行われずに残ってしまう痕のことです。ニキビ跡ができるまでにはいくつかのステップが関係しています。
①炎症の発生
ニキビ跡の元となるニキビは、過剰に分泌された皮脂が古くなった角質と混ざり合い、毛穴を詰まらせることから始まります。ここにアクネ菌が増殖することで炎症が起こり、深部まで進行すると、皮膚の組織がダメージを受けます。
②組織の破壊
ニキビの炎症が強い場合、皮膚の真皮層まで影響を及ぼします。真皮層には、肌のハリや弾力を保つためのコラーゲンやエラスチンが存在しますが、これらが炎症によって損傷を受けます。これが皮膚の構造的な損傷の原因となり、修復プロセスが複雑になります。
③修復過程の異常
肌が何かしらのダメージを受けた後、体はその部分を修復しようと働きます。しかし、修復する過程で異常が起きると、コラーゲンの過剰生成(肥厚性瘢痕)や生成不足(陥没性瘢痕)が起こります。これにより、肌の表面にでこぼことしたクレーターや色素沈着が残ります。
④色素沈着
ニキビによって肌に炎症が起きている間は、肌が刺激から守ろうとメラニン色素を生成します。しかし、炎症が落ち着いた後も、メラニン色素の生成が過剰になる場合があります。これがニキビ跡として茶色や赤みを帯びた色素沈着を引き起こします。
⑤時間経過による定着
適切なケアを行わない場合、こうした跡は長期間残る可能性があります。また、長引いた炎症によって毛細血管の拡張が起こり、皮膚から血管が透けて見えやすくなることで、赤みのあるニキビ跡が残る可能性もあります。特にダメージが深い場合は、自然な修復だけでは改善が難しいことがあります。
ニキビ跡ができやすい肌質とは
ニキビ跡ができやすい肌質は以下のような方です。
- 敏感肌の方
- 肌の炎症や赤みが長引きやすい肌質
- 日常的に紫外線を浴びている、紫外線対策を怠りがちな方
- 誤ったニキビケアをしている
- 常にストレスが溜まった状態である
敏感肌の方は、肌のバリア機能が弱まっている状態のことが多く、外的刺激を受けやすくなり、炎症や赤みを起こしやすくなります。また、刺激によってニキビができやすくなり、赤みや炎症も長引きやすい特徴があります。間違ったニキビケアをしている人も、炎症を長引かせてしまったり、反対にニキビを作りやすい肌状態にしてしまっていたりする可能性があります。
紫外線を浴びることが多い人も、色素沈着タイプのニキビ跡が残りやすい傾向にあります。
さらには、肌質に関係なく、ストレスを溜めやすい人は、ホルモンバランスの乱れによってニキビができやすかったり、肌の修復機能が低下していたりするため、ニキビ跡を作りやすくしてしまいます。
ニキビ跡は完治するのか?
ニキビ跡ができた時、完治して綺麗な状態に戻るのか不安な方も多いと思います。自然に綺麗な状態に戻るのかどうかを解説します。
ニキビ跡が治るまでの期間は?
ニキビ跡の種類や重症度にもよりますが、比較的軽度の赤みや色素沈着は時間の経過とともに肌のターンオーバーによって改善が期待できます。
しかし、自然に任せた場合、最低でも3ヶ月程度はかかると言われています。
ニキビによるダメージが深いところに及んでいたり、デコボコのクレーター状になっていると、自然に完治することはほとんどないでしょう。
自然治癒の可能性と限界
肌のターンオーバーと共にニキビ跡を改善することは可能ですが、ターンオーバーによって改善できるのは表皮のみになります。そのため、真皮層にまでダメージが及んでいたり、ターンオーバーの速度を上回ってメラニンが生成され続けていると、自然治癒では限界があります。
この場合は、美容治療を検討することも視野に入れておきましょう。
ニキビ跡の回復に時間がかかる理由
ニキビ跡の回復に時間がかかる理由は、色素沈着タイプのニキビ跡であれば、表皮の深いところからメラニンが蓄積されており、メラニンを排出しきるまでに複数回ターンオーバーを繰り返す必要があるからです。
また、クレータータイプのニキビ跡は自力での改善は難しいため、美容治療を受ける必要がありますが、1回の治療で回復できる肌構造には限界があり、回数を重ねることで少しずつ元の状態に戻していきます。
このように、自力で改善が可能なニキビ跡もそうでないニキビ跡も、回復には一定の期間がかかることがほとんどなのです。
ニキビ跡の治療法:自宅でできるケアと専門的な治療
ここからは、自宅でできるニキビ跡のケアとクリニックで受ける治療について解説していきます。
自宅でできるスキンケア方法
ニキビ跡ができた時の自宅でのスキンケアは、摩擦しないようにしっかりと保湿しましょう。
摩擦によって炎症が起きてしまうと、ニキビ跡が濃くなってしまったり、赤みが長引いてしまったりします。また、肌が乾燥しバリア機能が低下していると、紫外線などの外的刺激を受けやすくなります。刺激が続いた状態のままだと、ニキビ跡の改善の速度を上回って細胞がダメージを受けてしまうため、なかなかニキビ跡が改善しないという結果になってしまいます。
スキンケアと同時に、紫外線対策も徹底するようにしましょう。紫外線によってメラニン色素の生成が促進されてしまったり、コラーゲンやエラスチンが破壊されてしまったりします。
クリニックでの専門的な治療法
ニキビ跡の治療には、クリニックでの専門的な治療を受けることで、より短期間で綺麗に治療できます。
色素沈着や赤みの残るニキビ跡には、ケミカルピーリングやフォトフェイシャルで、肌のターンオーバーを促してあげることが重要です。ターンオーバーは約28日周期で繰り返されますが、年齢を重ねるごとにその速度は遅くなっていきます。遅くなっていくということは、それだけニキビ跡の治りが遅くなり、綺麗に完治しない可能性が高くなります。そのため、ターンオーバーを促進する治療を行うことで、より短い期間でニキビ跡を治療していくことが必要なのです。
また、フォトフェイシャルは、毛細血管が拡張してできた赤みのあるニキビ跡の改善にも効果的です。フォトフェイシャルは幅の広い光を肌に照射することで、様々な肌悩みを改善できる治療ですが、その中のひとつに、拡張した毛細血管を破壊することで赤ら顔を改善する効果もあります。そのため、毛細血管の拡張によって残った赤みのあるニキビ跡にも効果を発揮します。
最も治療に時間のかかるクレーター状のニキビ跡には、ダーマペンがおすすめです。ダーマペンは肌に傷をつけることで、より綺麗になろうとする自己修復力を利用します。クレーター状のニキビ跡は真皮層にまで及ぶ深い傷のため、自然治癒では改善が難しいですが、自己修復力によってコラーゲンなどの成分の生成を促すことで、できてしまった傷跡を治します。これにより、へこんでいたクレーターを滑らかにすることができ、ニキビ跡が改善されます。
食生活と生活習慣の改善
食生活や生活習慣の改善も、ニキビ跡を治すためには必要です。
食事は以下の栄養素を意識して摂り入れるといいでしょう。
【赤身肉や鶏のささみ、納豆や豆腐、卵などに含まれるタンパク質】
タンパク質は体を構成する成分として非常に重要です。また、肌のターンオーバーを維持するうえでも重要な栄養素となります。
【豚肉や鶏肉、サバやごま、玄米などに含まれるビタミンB群】
ビタミンB群は肌を修復するときに必要な成分ですが、体内で生成することができないため、食事で摂取する必要があります。ニキビの炎症によってダメージを受けた細胞を修復するのに役立ちます。
【ピーマンやブロッコリー、大根やオレンジ、キウイなどに多く含まれるビタミンC】
ビタミンCは抗酸化作用が高く、色素沈着の元となるメラニン色素の生成を抑制する作用が期待できます。また、メラニン色素の還元作用もあるため、色素沈着タイプのニキビ跡の改善にも役立ちます。
【ナッツ類や緑黄色野菜、うなぎなどに多く含まれるビタミンE】
ビタミンEには強い抗酸化作用や、血行の促進が期待できます。血行が促進されることで肌のターンオーバーが整うため、メラニン色素を排出しやすくなります。
これらの栄養素をバランスよく食事に取り入れつつ、質の良い睡眠がとれるように心がけましょう。
肌を修復するための成長ホルモンは、睡眠から3時間前後に最も放出されます。この時間により深い睡眠がとれていることが重要であるため、睡眠前には湯船につかるなどしてリラックスし、スマホなどのブルーライトはカットするようにしましょう。
ストレスも肌の老化を進めてしまったり、肌の修復を阻害してしまったりするため、趣味の時間を作るなどして、ストレスを溜めないように心がけましょう。
オススメのスキンケア製品
ニキビ跡を改善するためには、自宅でのケアが重要ですが、その際におすすめのスキンケアの成分について解説します。
効果的なスキンケア製品の選び方
ニキビ跡のケアには乾燥は大敵です。肌の保湿力を高めてくれるヒアルロン酸やセラミド、コラーゲンなどの成分が配合されているケア用品を選ぶといいでしょう。
皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3つの層に分かれていて、この一番上の表皮にある角質層に存在するのがセラミドです。
セラミドは保湿効果以外にも、アレルゲンや外部からの刺激が侵入するのを防ぐバリア機能も兼ね備えています。
また、色素沈着を改善するためには、ビタミンCやトラネキサム酸配合のものもおすすめです。
ビタミンCやトラネキサム酸は、メラニンの還元作用があり美白効果が高く、色素沈着の改善に効果的です。
成分に注目するポイント
ニキビ跡を改善するためには、肌への刺激が少ないものを選ぶといいでしょう。
添加物が多いものほど肌への刺激が強いため、界面活性剤、鉱物油、パラベン、人工(合成)香料、人工(合成)着色料、酸化防止剤が含まれたケア用品や化粧品は避けたほうが安心です。
使用するケア用品に気をつけることで、ニキビ跡の改善のみならず、新しくニキビができることも防いでくれます。
ニキビ跡のメイクカバー方法
ニキビ跡が治るまでには時間がかかりますが、その間ニキビ跡を目立たせたくないですよね。ここではニキビ跡をカバーするメイク方法をお伝えします。
ニキビ跡を隠すためのベースメイク
ニキビ跡を隠すためには、ニキビ跡の色を打ち消す色のベースメイクを使用します。
赤みのあるニキビ跡をメイクでカバーするには、ややグリーンがかった色味のベージュコンシーラーを使用します。色素沈着した茶色いニキビ跡には、オレンジ系のコンシーラーやベースメイクを使用するといいでしょう。
カバーしたい部分にコンシーラーを乗せたら、コンシーラーブラシを使用し、周りだけぼかして肌になじませます。その後、伸ばした部分と肌との境目を指で優しくとんとんと馴染ませます。コンシーラーを乗せた後に下地を塗ってしまうとコンシーラーがよれてしまうため、コンシーラーの前に肌全体に下地を塗るようにしましょう。
コンシーラーを塗った後は、フェイスパウダーでさっと仕上げる程度にするといいでしょう。
メイクの落とし方と肌への負担を減らす方法
ニキビ跡をカバーしようと思うと、どうしてもメイクを重ねてしまわないといけなくなりますが、しっかりとメイクを落とせないと、新しいニキビを作ってしまう原因になります。
ただし、洗顔時にごしごしと擦ってしまうことは控えましょう。
クレンジングでメイクを落とす際は、オイルタイプや乳液タイプのものを使用するといいでしょう。人肌程度に手の平で温めたクレンジング剤を肌に優しくなじませます。この時擦らずに、肌に押し付けるようになじませていきます。ただし、肌への負担が大きくなるため、1分以内には洗い流すようにしましょう。
クレンジングを洗い流した後は洗顔に移っていきますが、洗顔の泡はしっかりと泡立て、もっちりとしたものを作るようにしましょう。濃密な泡によって、毛穴の中の汚れまで掻きだすことができるため、擦る必要がありません。クレンジング同様、優しく肌に押し当てるように洗顔していきます。
洗い流す際のお湯は38度程度のぬるま湯か水にすることで、皮脂を落としすぎる心配がなく、肌への負担を軽減できます。
適切な洗顔は、肌への刺激を軽減しニキビ跡の改善の手助けとなります。また、新しいニキビの予防もでき、より綺麗な肌を維持しやすくなるため、ニキビ跡やニキビで悩んでいる方は、洗顔方法を見直してみるのもおすすめです。
ニキビ跡に関するよくある誤解と真実
ニキビ跡に関する情報には多くの誤解が存在します。本当に正しいケアをするためには、色素沈着やクレーターなどニキビ跡の種類に応じた対策を知ることが大切です。
ニキビ跡は完全に消えない?
ニキビ跡は完全に消えるものとそうでないものがあります。
比較的軽度の色素沈着や赤みタイプは適切なケアと時間の経過によって消すことが可能です。ただし、ニキビ跡の濃さや深さによっては、長い期間がかかったり、治療過程で新たなメラニンが生成されたりしてなかなか薄くならないという可能性もあります。自宅でのケアと、ケミカルピーリングなどの美容治療を併用することがおすすめです。
完全に消すことが難しいニキビ跡はクレータータイプのものです。
自己修復力を利用した美容治療などで改善は可能ですが、クレーターの深さによっては完全に綺麗にすることが難しいものもあるため、美容治療を検討している人は一度専門家に相談してみるといいでしょう。
自然に治るための時間はどれくらい?
色素沈着や赤みタイプの色素沈着を自然に治すためには、少なくとも3ヶ月は必要と言われています。
これらのニキビ跡は、肌のターンオーバーと共に改善していくため、表皮のより深いところから改善する必要があるものほど時間がかかってしまいます。
より早い段階で綺麗にするには、美容治療を利用するといいでしょう。
ニキビ跡が悪化する原因とは?
ニキビ跡が悪化する原因は、繰り返すニキビや紫外線、摩擦などです。
紫外線や摩擦などは、新たなメラニン色素を生み出す原因となります。また、ニキビ跡ができている部分は他の所と比べて敏感な状態であったり、肌が弱っている状態だったりして、ニキビを繰り返しやすくなります。同じ部分にニキビを繰り返すことで、治りにくいニキビ跡につながる可能性が高いため、ニキビ跡を悪化させないためには、新しいニキビをできるだけ抑制することも重要です。
まとめ
ニキビ跡は種類によっては完治するものもありますが、より重症の深い部分からのニキビ跡は完治しない可能性もあります。
色素沈着や赤みタイプのニキビ跡は自然に改善していきますが、適切なケアが重要で、長い期間がかかります。より短い期間で綺麗にするためには、ケミカルピーリングなどの美容治療を併用するといいでしょう。
クレータータイプのニキビ跡は、セルフケアでは改善できないため、専門家に相談するようにし、適切な治療を受けることが大事です。
ニキビ跡にも種類があり、それぞれに適した治療やケア方法が大事になるため、間違ったケアを行う前に専門家に相談することが、より綺麗な肌を維持するためには重要です。