ニキビが治った後に、黒く色素沈着ができてなかなか消えないという経験はありませんか。
なぜ黒いニキビ跡ができるのでしょうか。黒いニキビ跡を作らないためには、どのような対処をするといいのでしょうか。
このコラムでは、色素沈着によって黒くなったニキビ跡の原因や薄くする方法などについて解説します。
黒いニキビ跡の正体とは?色素沈着を防ぐ&薄くする方法

この記事を読んでわかること
- ニキビによる炎症や紫外線刺激でメラニン色素が生成され、ターンオーバーが追いつかず蓄積することで黒いニキビ跡が残ります。
- ニキビの炎症が長引くと、活性酸素の影響でメラニン生成が促進され、黒い跡が残る原因となります。
- 肌の乾燥や間違ったスキンケアが原因でバリア機能が低下し、紫外線や刺激の影響を受けやすくなり、メラニン色素の生成を助長してしまいます。
- 睡眠不足やストレス、運動不足がターンオーバーの乱れや肌の修復力低下を引き起こし、ニキビ跡が残りやすくなります。
目次
ニキビ跡が黒くなる原因とは

ニキビができて治った後に、黒く痕が残ったことのある人も多いのではないでしょうか。ニキビ跡が黒くなるのにはいくつかの原因があります。
メラニン色素とその関係
ニキビ跡が黒くなるのには、メラニン色素が関係しています。
メラニン色素は、シミの元や色素沈着の元でもあり、紫外線の影響、炎症の影響などで生成が活発化します。
メラニン色素は本来、外的刺激から細胞を守るために生成されますが、メラニン色素を生成するメラノサイトへの刺激が長く続くことで、生成量が増加します。

本来肌のターンオーバーと共に排出されるはずのメラニン色素は、排出よりも上回る速度で生成されることで、少しずつ蓄積していき、肌に黒い跡として残ります。
これが、黒いニキビ跡の原因です。
炎症後の色素沈着による影響
黒いニキビ跡は、特にニキビによる炎症が長引いたことによる、炎症後色素沈着である可能性が高いです。
メラニンを生成するメラノサイトは、紫外線による刺激の他、炎症によっても活性化します。メラノサイトの活性化は、紫外線などの刺激を受けた後いくつかの段階を経てメラニン色素が生成されます。

このような一連の流れによって、ニキビ跡を黒くするメラニン色素が生成されます。
紫外線や放射線が細胞に照射されると、細胞内に活性酸素が発生するのが知られている。
引用:Wikipedia – 活性酸素
メラニン細胞(めらにんさいぼう、英: melanocyte)は、メラニンを形成する細胞。メラノサイトとも呼ばれる。
引用:Wikipedia – メラニン細胞
メラニンは、黒褐色の真性メラニン(eumelanin、ユーメラニン)と、橙赤色の亜メラニン(ドイツ語版)(Pheomelanin、フェオメラニン)の2種類に分けられる[1][2]。
引用:Wikipedia – メラニン
スキンケア不足や間違ったケアのリスク
スキンケアが不足して肌が乾燥すると、肌のバリア機能が低下し紫外線の影響を受けやすくなります。特にニキビができている部分は、肌がダメージを受けバリア機能が低下している状態のため、紫外線の影響を受けやすくなります。
また、間違ったケアによってニキビが長引いてしまうと、その分肌の炎症も長引き、メラニン色素が生成・蓄積されやすい状態になってしまいます。
具体的には、ニキビの膿を出そうと自分で潰してしまったり、保湿しようと油分の多いスキンケアを行ってしまったりすることです。
ニキビができてしまった時は、比較的軽度のニキビは出来るだけ触らずに、自然に治っていくのを待つ方が良いでしょう。重度のニキビの場合は、早めに医療機関で診てもらうことをおすすめします。
スキンケアは、油分ではなく水分を重視したケアを行う方が良いでしょう。特にニキビができやすい肌の方は、乾燥肌であったり脂性肌であったりする可能性が高いです。乾燥肌に油分を補充しても角質層はなかなか潤わないため、まずはしっかりと化粧水などで水分を補充してあげましょう。脂性肌の人も、実は肌が乾燥していることで過剰な皮脂を分泌している可能性が高いため、まずはしっかりと水分を肌に補ってあげることから始めましょう。
黒いニキビ跡を早く薄くするにはどうすればいい?

黒いニキビ跡ができてしまったら、出来るだけ早く薄くしたいですよね。日常でできる簡単なケアについて解説します。
皮膚再生を促進するスキンケア成分
皮膚の再生を促すことは、ターンオーバーを促すことにもつながり、ターンオーバーと共に蓄積したメラニン色素の排出が期待できます。

皮膚再生とは、傷やダメージを修復し、新しい組織を作ることを指しますが、主な作用としてコラーゲンやエラスチンなどの生成があります。そのため、レチノールやビタミンC誘導体などの成分がおすすめです。
レチノールはビタミンAの一種で、肌細胞の分化や増殖に効果的です。また、ビタミンC誘導体は、ビタミンCをより肌に浸透しやすく改良した化合物で、ビタミンCと同じような働きをします。その働きのひとつに、コラーゲン生成のサポートがあり、肌の再生を助け、ターンオーバーを維持することに役立ちます。
皮膚再生の促進と、ターンオーバーの維持は密接に関係しているため、スキンケアで効果的な成分を取り入れて黒いニキビ跡を改善していきましょう。
紫外線の影響を防ぐための日常対策
メラニン色素の生成を活発化させてしまう紫外線は、日焼け止めや帽子などを使用してしっかりとブロックすることが、黒いニキビ跡を薄くしていくうえで重要になります。
紫外線はメラニンを生成するメラノサイトを刺激してしまい、メラニン色素の生成を促しますが、ニキビのできている状態やニキビ跡ができている状態への紫外線の照射は、普段よりも紫外線の吸収率が上がってしまう可能性があります。そのため、シーンに適した日焼け止めを使用したり、帽子や日傘を使用したりして紫外線をブロックしましょう。

食生活から始める肌改善方法
食事からも、肌のターンオーバーを促進する働きかけが大事になります。
- タンパク質(肉類や魚類、卵や豆腐などの大豆製品)
髪や肌、筋肉など体を作る元となる栄養素です。肌のハリや弾力を維持するためのコラーゲンの生成を担っているため、健康な肌の維持に重要です。 - 脂質
細胞膜の主成分となり、不足することで肌が乾燥しやすくなるため、美容には欠かせない成分のひとつです。しかし、肉の脂身や乳製品などに含まれる「飽和脂肪酸」は肌荒れの原因になるため、出来るだけ避けるようにしましょう。一方で、アーモンドやナッツなどの「不飽和脂肪酸」や、サバ、サンマなどの「必須脂肪酸」は肌荒れを予防してくれるため、意識して摂るようにするといいでしょう。 - ビタミンA、C、E(緑黄色野菜や柑橘類、キウイなどの果物)
ビタミンAは肌の潤いを保ち、肌の健康を維持します。ビタミンCは、色素沈着やシミなどのメラニンの還元作用があり、コラーゲンの生成をサポートします。ビタミンEは、血流を促し肌細胞の老化を防ぐ効果が期待できます。
これらの成分は、抗酸化作用もあり、肌の老化を抑制する効果も期待できます。 - 亜鉛(牡蛎や豚レバー)
タンパク質の合成を促し、肌のターンオーバーを維持します。
これらの栄養素を、食事やサプリメントなどから摂取し、バランスの良い食事を意識しましょう。
医療の力でニキビ跡を改善する選択肢

より早く、より綺麗に黒いニキビ跡を改善していくには、美容医療を利用することも大事になります。
ピーリング治療の効果と注意点
ケミカルピーリングは、弱い酸の薬剤を用いて肌表面の角質を溶かし剥がす治療です。
これにより、肌の表面に積み重なった古くなった角質や、メラニン色素を少しずつ排出していきます。肌への刺激を抑えながら角質を剥がしていくため、効率よくメラニン色素を排出することができ、ダウンタイムもほとんどないのが特徴です。

ターンオーバーの促進も期待できるため、より効果的に肌の奥からメラニン色素を排出することが可能です。
ただし、肌状態によっては赤みや痒みが出たり、乾燥が顕著になったりするため、施術前後でしっかりと保湿するように心がけましょう。
レーザー治療はどんなケースに向いている?
レーザー治療では、蓄積したメラニン色素を分解し、排出しやすくします。
ケミカルピーリングよりも肌の奥深く、真皮層にまでレーザーが達し、その熱エネルギーによってコラーゲンの生成も促されます。黒く残ったニキビ跡の改善と共に肌のハリの回復も求める人におすすめです。
ただし、過度に日焼けしている人や金属アレルギーのある人など、施術を受けることができない方もいます。また、肌の乾燥が強い人や肌が荒れている人などは、施術によるダメージを受けやすく、赤みや刺激が強く出る可能性があるため注意しましょう。
IPL光治療がおすすめな理由
IPL光治療もレーザー治療と同様に、メラニン色素を分解し排出するため、黒いニキビ跡の改善に効果的です。

他にも、コラーゲンの生成や毛細血管の拡張による肌の赤み、ニキビ跡の赤みなどの改善も期待できます。IPLの光は、幅の広い波長のものを肌に照射するため、様々な肌悩みの改善に効果的です。
ただし、強い光を照射するため、光過敏症の方や過度に日焼けをしている方などは受けることができず、肝斑への照射は肝斑の悪化の可能性があることを覚えておきましょう。
黒いニキビ跡と他の形状の違いについて知ろう

ニキビ跡には黒い色素沈着として残るものの他にも、赤みやクレーターなどのタイプのものもあります。
赤みタイプのニキビ跡と何が違う?
赤みのあるニキビ跡は、長引く炎症によって毛細血管の拡張し、その赤みが皮膚を通して見えてしまうことで起こります。また、ニキビが治まってすぐは、炎症が残ってしまっていることで、ニキビ跡が赤く見えることがあります。
色素沈着タイプの黒いニキビ跡と同様に、IPL光治療によって、毛細血管を破壊することで、赤みを改善することができます。
凹凸(クレーター)タイプとの共通点と違い
クレータータイプのニキビ跡は、ニキビの炎症が肌の奥深くまで達し、炎症によって傷を受けた肌が正常に修復できなかったことで、傷として残ってしまったものです。
色素沈着タイプの黒いニキビ跡と同様に、ニキビの炎症によって起こりますが、炎症がより深く真皮層にまで達することでクレーターがおこります。
初期のニキビの段階で治療を行うことで防げます。
生活習慣がもたらす黒いニキビ跡への影響について考えよう

黒いニキビ跡は、生活習慣の乱れなどで改善が遅くなることもあります。
睡眠不足が肌に与えるダメージ
睡眠不足の肌は、日中に受けた肌ダメージを修復することができなくなり、どんどんと肌ダメージが積み重なっていきます。
肌の修復に必要な成長ホルモンは、睡眠時に最も分泌されると言われています。しかし、睡眠中にずっと分泌されているわけではなく、入眠から3時間経った頃に訪れるノンレム睡眠のタイミングで最も分泌されます。そのため、ノンレム睡眠をいかに深い睡眠で迎えることができるかが重要になります。
具体的には、睡眠の2時間前には、スマホやパソコンなどのブルーライトをカットするように心がけることや、40℃程度の湯船に浸かりゆっくりと体を温めること、夜は緑茶やコーヒーなどのカフェインの摂取は控えることなどが大事になります。
肌の修復が効果的に行われることで、メラニン色素も排出されやすくなるため、質の良い睡眠を心がけましょう。
成長ホルモンは睡眠中に2時間から3時間の間隔で下垂体前葉より分泌される。したがって、子供の成長や創傷治癒、肌の新陳代謝は睡眠時に特に促進される。
引用:Wikipedia – 成長ホルモン
ストレス管理で肌状態をよくするヒント
ストレスが溜まることで、体内で活性酸素が発生しやすくなります。この活性酸素は、健康な肌を維持するための細胞を酸化させ、肌の老化を促進させてしまいます。この活性酸素は、紫外線を浴びた時などにも発生しますが、コラーゲンの分解を促進し、肌の修復機能を低下させる可能性があります。これにより、肌のターンオーバーの速度が低下しやすくなり、メラニン色素が蓄積しやすくなります。また、ストレスが続くと、交感神経が優位になりやすく、それによって皮脂腺が活発化し、皮脂の過剰な分泌にもつながりやすくなります。皮脂が過剰に分泌されると、ニキビができやすくなる可能性があり、ニキビを繰り返すことで色素沈着のリスクも上がってしまいます。
ストレスを溜めないように、リラックスできる時間を作ったり趣味の時間を作ったりして、健康な肌を維持できるように心がけましょう。
運動不足が血行不良につながるメカニズム
運動不足によって血流が悪くなると、肌の修復に必要な栄養素を効率よく届けることができなくなり、ターンオーバーの速度が低下してしまいます。
特にふくらはぎは第二の心臓と言われているほど、血流を全身に行き渡らせるためには重要な筋肉で、ウォーキングや階段の上り下りなどで効果的に使うことができます。
激しい運動を行う必要はなく、日常生活の中で一駅分だけ長く歩いたり、エスカレーターではなく階段を使用したりするなどで十分です。特にデスクワークが多い人は、椅子に座りながらかかとの上げ下げなどでも筋肉を動かすことができるため、意識して行うといいでしょう。
再発させないために必要な予防策とは

色素沈着の黒いニキビ跡を再発させないためには、ニキビを予防することを意識してスキンケアを行うことが重要です。
毎日のスキンケアルーティン確立法
毎日のスキンケアでは、水分をしっかりと補給し、油分でしっかりと蓋をすることで、水分と油分のバランスを維持できる肌環境を作ることが重要です。
- 洗顔後の肌にできるだけ素早く化粧水で水分を補給します。この時、1回でたっぷりの水分を与えるのではなく、2回に分けて化粧水を塗布する方がより水分を補給させやすくなります。
- 乾燥が気になる方は、オイルを化粧水の後に塗布することをおすすめします。脂性肌で肌のべたつきが気になる方は、オイルはスキップしてもいいでしょう。
- 美容液を塗布します。乾燥や肌のべたつき、ざらつきなどが気になる方は、肌の保水力を上げてくれるようなものを、シミや色素沈着、くすみなどが気になる方は、美白効果の高いもの等を選ぶといいでしょう。美容液は、その時の肌悩みを改善するためのブースターの様なものなので、自分の悩みに合わせたものを使用するといいでしょう。
- 最後は必ずクリームや乳液で水分が蒸発しないように蓋をします。
普段スキンケアを疎かにしていた方には、初めのうちは手順が多くなかなか慣れないかもしれませんが、1週間もすれば自然と馴染んでくると思います。スキンケアで美肌を維持するためには長い時間をかける必要があるため、しっかりと習慣化していきましょう。
肌負担を減らす洗顔・クレンジング方法
洗顔ひとつとっても、ニキビのできにくい肌作りが可能です。
洗顔の前に行うクレンジングは、日中肌についた汚れやメイク汚れを落とすために重要なものです。ただし、ごしごしと擦ってしまうと肌への刺激となるため、優しく馴染ませるように使用しましょう。また、長い時間肌に置いておくことも肌への負担となるため、1分以内で洗い流しましょう。
熱すぎるお湯での洗顔は、肌に必要な皮脂も洗い流してしまい、乾燥につながってしまいます。そのため、洗顔の際はぬるま湯か水で行います。洗顔するための泡は、たっぷりと泡立てたものを使い、擦らずに泡で顔をパックするように洗いましょう。濃密な泡であれば、自然と毛穴の汚れも掻きだしてくれるため、ごしごしと擦る必要はありません。洗い流す際も擦らずに、手ですくったぬるま湯や水を優しく顔に押し当てるように洗い流します。
このように、ひとつひとつの手順を丁寧に行うことが、ニキビの予防につながります。タオルで拭く際も優しく押さえ拭きすることを忘れないようにしましょう。
ニキビ初期段階からの適切な対応
もしもニキビができてしまっても焦らずに、適切な方法で対処しましょう。
ニキビには軽度のものから重度のものまで、段階があります。

白ニキビや黒ニキビは、コメドと呼ばれるニキビの赤ちゃんのようなもので、まだ炎症が起きていない状態です。この段階で、毛穴に詰まった汚れや角栓を取り除くことができれば、炎症ニキビになることはありません。しかし、自分で角栓を取ることは、毛穴を傷つけ炎症を起こしてしまい、ニキビの悪化や色素沈着の原因となることがあるため、出来るだけ触らずに、適切な保湿で肌のケアを行うようにしましょう。食事の内容にも気をつけ、ジャンクフードや脂質の多い食事は避けるようにし、肌のターンオーバーを促すことを意識しましょう。
自分でのケアに不安がある場合は、医療機関で診てもらい、適切な処置を受けることをおすすめします。
まとめ
黒いニキビ跡は、ニキビの炎症や紫外線の影響によってメラニン色素が過剰に生成され、肌のターンオーバーによる排出が追いつかず蓄積することで生じる色素沈着が原因です。
色素沈着を予防するには、ニキビが炎症を起こす前に改善することや、紫外線対策を徹底することが重要です。
また、ニキビを作らせないことも大事で、適切な肌ケアで肌の潤いを維持することや、初期のニキビ、コメドの状態で適切な処置を行い、悪化させないことが色素沈着予防に効果的です。
色素沈着の黒いニキビ跡ができてしまったら、ケミカルピーリングやレーザー治療、IPL光治療などが効果的なため、悩んでいる方はぜひ椿クリニックにご相談ください。