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ニキビ治療薬イソトレチノインの知っておくべき副作用と安全な使い方

ニキビ治療薬イソトレチノインの知っておくべき副作用と安全な使い方

この記事を読んでわかること

  • ニキビ治療薬イソトレチノインの作用メカニズム
  • イソトレチノインと他のニキビ治療薬との比較
  • イソトレチノインの一般的な副作用とその対策
  • イソトレチノイン使用中のスキンケアの重要性

難治性ニキビの治療薬としてアメリカなどの諸外国では一般的なイソトレチノインですが、その効果や副作用を解説していきます。
繰り返すループニキビでお悩みの方はぜひニキビ治療のひとつとして参考にしてください。

イソトレチノインとは?ニキビ治療の新スタンダード

イソトレチノインとは?ニキビ治療の新スタンダード

難治性のニキビ治療薬イソトレチノインですが、その効果や他のニキビ治療薬との違いなどを解説します。

イソトレチノインの作用メカニズム

イソトレチノインは重度のニキビ治療に使われる内服薬です。一般名はイソトレチノインですが、商品名としては「ロアキュタン」や「アクネトレント」など様々なものがあります。
ビタミンA誘導体を主成分としており、「皮脂分泌の抑制」や「肌の異常な角化の抑制」「肌の炎症の抑制」に働きます。

他のニキビ治療薬との違い

他のニキビ治療薬との大きな違いは、イソトレチノインはいくつかあるニキビの原因に一気にアプローチできるという点です。
ニキビができる原因は大きく分けて「皮脂の過剰な分泌」「角質が除去できないことによる毛穴詰まり」「アクネ菌の増殖」とありますが、他のニキビ治療薬(塗り薬)は原因全てにアプローチできるものはありませんでした。
また、抗菌薬の内服薬もありますが、あくまでも細菌を抑えるための内服薬になるため、アプローチできるところはひとつしかないという欠点がありました。
ニキビの原因全てにアプローチしようと思うと、内服薬や塗り薬をいくつか組み合わせて使う必要がありましたが、イソトレチノインは1種類の内服薬でニキビの原因全てにアプローチしてくれます。

イソトレチノイン使用時の一般的な副作用

イソトレチノイン使用時の一般的な副作用

イソトレチノインには副作用があります。副作用を知って、快適なニキビ治療期間にしましょう。

皮膚の乾燥と対処法

イソトレチノインの皮脂分泌抑制の作用で過剰な皮脂が抑えられニキビの抑制に働きますが、内服薬ですので体全体にその作用が働きます。
そのため、皮膚が普段よりも乾燥しやすくなり、唇などにひび割れが起こる可能性があります。
対策としては、しっかりと保湿していただき、皮膚の保湿に関係しているヒアルロン酸をなるべく破壊しないように紫外線対策をしっかりとしましょう。

光過敏症になるためその他の治療に注意

イソトレチノインの内服中は光過敏症になりやすいです。
紫外線の影響を受けやすくなるほか、レーザーや光治療による副作用も受けやすくなるため、控えるようにしましょう。浅い部分へのケミカルピーリングや機器を使わない皮膚の切除などは問題がないと言われていますが、他の美容治療を受ける際は必ず医師にご相談ください。

日焼けのリスクと予防策

イソトレチノインの内服中は紫外線の影響を受けやすくなることをお話ししましたが、紫外線は肌老化に大きく影響します。

紫外線によって、肌の弾力を保っているコラーゲンやエラスチンが破壊されることでしわやたるみの原因になります。また、紫外線はメラニンを作るメラノサイトを活性化させるため、しみやそばかす、色素沈着などの原因にもなります。
ニキビ治療で肌を綺麗にしていっても、シミやたるみなどの肌老化が進んでしまってはもったいないですよね。そうならないためにも、日焼け止めや日傘、帽子などでしっかりと紫外線対策をしましょう。

イソトレチノインの副作用と女性の健康

イソトレチノインの副作用と女性の健康

イソトレチノインの副作用は、特に女性に大きく影響します。
禁忌などを解説していきますので、よく知ってニキビ治療に挑みましょう。

妊娠中・授乳中の使用禁止とその理由

イソトレチノインの重大な副作用として、流産や胎児奇形などがあります。
妊娠中や授乳中は胎児や子どもへの影響があるため、服用を禁止しています。 ※厚生労働省見解
妊娠や授乳、献血についても服用中と服用終了から1ヶ月間は止めておいてください。

月経周期における注意点

椿クリニックでは、正常な月経が確認でき2~3日経ってからの服用のスタートをお願いしています。
月経ではなく不正出血の場合、内服後に妊娠が発覚してしまうというリスクを避けるためです。
普段から月経不順で正常な生理かわからない方は、医師にご相談ください。

長期使用時の影響と管理

イソトレチノインは途中で断念するよりも、長期でしっかりとニキビを治していく使い方が適しています。
服用後1ヶ月ほどすると一時的にニキビが増悪しますが、ほとんどの場合は2〜3ヶ月ごろから効果を実感し始めます。4ヶ月ごろにはニキビに対して良い成果が出ていることがほとんどです。
日本の厚生労働省にあたるアメリカのFDA(アメリカ食品医薬局)によると、通常は0.5mg〜1.0mg/kgを1日1回服用し、12〜16週の治療期間で約9割の患者が総摂取量150mg/kgで良い治療成果が出たと発表しています。

アメリカ食品医薬品局(アメリカしょくひんいやくひんきょく、英語: Food and Drug Administration[4]、略称: FDA)は、アメリカ合衆国保健福祉省(Department of Health and Human Services, HHS)配下の政府機関。連邦食品・医薬品・化粧品法を根拠とし、医療品規制、食の安全を責務とする。

引用:Wikipedia – アメリカ食品医薬品局

イソトレチノインの心理的影響

イソトレチノインの心理的影響

イソトレチノインは時に精神面にも影響を与えることがありますが、ニキビに悩まされている人にとっては生活の質が向上するなどのメリットの方が多いのではないでしょうか。
ストレスとニキビの関係についても解説します。

イソトレチノインの心理面への副作用

イソトレチノインの副作用として、うつや自殺念慮などの精神障害があげられます。
しかし、ニキビに悩まされている人はニキビがあることで生活の質が低下したり、うつ状態になったりする場合もあります。
イソトレチノインでニキビが改善され、生活の質が向上したり、うつ状態が改善されるといったケースもあります。

参考:厚生労働省 – アキュテイン(ACCUTANE)(わが国で未承認の難治性ニキビ治療薬)に関する注意喚起について より

ストレスとニキビの関連性

ストレスはニキビの原因である皮脂を分泌する皮脂腺を活発にします。
活発になった皮脂腺から余分に排出された皮脂が、肌表面の古くなった角質と混ざり合うことで角栓ができ、これが毛穴を塞ぎます。塞がれた毛穴の中では、常在菌であるアクネ菌が繁殖し、ニキビが出来上がります。ニキビの炎症が強くなると毛穴周りの細胞を破壊していき、隣接する皮脂腺と結合することで皮脂腺が大きくなり、繰り返すニキビ、ループニキビにつながっていくのです。

ストレスとニキビの関連性

ストレスは女性ホルモン「エストロゲン」の分泌を低下させます。エストロゲンは肌の潤いを保つコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促しますが、エストロゲンが低下することで肌の乾燥を引き起こします。また、ストレスにより代謝機能が低下すると血流の悪化、体の冷えが起こり、肌のターンオーバーが乱れていきます。これらが重なり、角栓の原因である角化異常が起こりやすくなっていくのです。

ストレスとニキビの関連性

参考:シオノギヘルスケア – ストレスが原因とな皮膚トラブル より

参考:Wikipedia – イソトレチノイン

イソトレチノイン服用中のスキンケアルーチン

イソトレチノイン服用中のスキンケアルーチン

イソトレチノインを服用中は特に乾燥対策を心がけてください。
乾燥した肌は紫外線の影響を受けやすくなり、肌の老化を招きます。

乾燥肌対策の基本

乾燥する肌へできる対策は外からの保湿の他、食事からの対策も心がけてみましょう。
腸内環境が悪化することは肌トラブルへとつながることがわかっています。腸内の悪玉菌が増えることで本来腸内に留まるべき有害物質が血管を使い全身へと流れていきます。有害物質が肌へ影響を与えると肌トラブルやニキビなどにつながります。
腸内環境を整え、乾燥肌を改善するおすすめの食べ物は以下になります。

  • 腸を整えるために発酵食品と食物繊維を一緒に摂る
    味噌やチーズ、納豆やキムチなど、乳酸菌などの善玉菌を多く含む発酵食品を摂取するようにしましょう。同時に善玉菌のエサとなる海藻、ごぼう、さつまいもなどの食物繊維や大豆、玉ねぎ、バナナなどに含まれるオリゴ糖を一緒に摂ることで善玉菌を育てやすくなり、腸内環境を改善しやすくなります。
  • 肌の保湿に関係するセラミドを摂取する
    肌の真皮の潤いを保つ成分はヒアルロン酸ですが、角質層の潤いを保ってくれているのがセラミドです。
    このセラミドが不足すると乾燥肌になりやすいのですが、生芋こんにゃくにセラミドが豊富に含まれています。角質層であれば化粧品でも保湿は可能ですが、内側からのケアでより乾燥を防ぐことができます。
  • 肌のターンオーバーを正常に保つ
    肌のターンオーバーが乱れることで乾燥肌になりやすくなります。
    ターンオーバーを整えるためには、ビタミンB2やB6を含む納豆やうなぎ、卵や大豆製品がおすすめです。ターンオーバーの乱れた肌表面には古くなった角質が停滞するため、化粧品などの保湿成分が浸透しにくくなります。ターンオーバーを正常に保つためにも取り入れたい栄養素です。

おすすめの食材をご紹介しましたが、これらの食材をうまく取り入れバランスの良い食事を心がけるようにしましょう。

参考:大正製薬 – インナーケアコラム 乾燥肌によい食べ物はある?美肌を目指す食事術 より

日常でできる保湿テクニック

ここからは日々の生活の中で実践できる保湿方法についてご紹介していきます。

  1. クレンジング剤は低刺激のもので手早く済ませる
    毎日メイクをする人にとっては必需品であるメイクを落とすためのクレンジング剤ですが、クレンジングを肌に乗せる時間は短ければ短いほどいいことをご存じでしょうか。
    クレンジング剤には汚れを落とすための界面活性剤が使われていることがほとんどですが、この界面活性剤は肌のバリア機能を壊してしまいます。バリア機能の壊れた肌は外的刺激を受けやすくなるほか、角質層で肌の潤いを保っているセラミドも流れ出ていきます。肌に触れている時間が長ければ長いほど界面活性剤の刺激をうけやすくなります。
    乾燥肌を防ぐためにも、なるべく低刺激でできれば1分以内にクレンジングを洗い流すのがいいでしょう。
  2. ぬるめのお湯で洗顔する
    アツアツのお湯で洗顔すると気持ちいいですよね。特に冬場は寒さからついついお湯の温度を熱くしてしまいがちです。しかし、アツアツのお湯は肌に必要な分の皮脂まで洗い流し乾燥肌の原因となります。
    できれば36度〜38度程度のぬるめのお湯で洗顔するように心がけましょう。
  3. 洗顔後はすぐに保湿
    洗顔後に先に着替えをしていたり、髪を乾かしたり、お子さんをお持ちのご家庭はお子さんの面倒を見ることが優先になってしまい、ついつい保湿が後回しになっていませんか。
    洗顔後タオルドライした肌はすぐに水分が蒸発し乾燥していきます。できれば5分以内に化粧水などの保湿を行いましょう。
    どうしても先にしてしまわないといけないことがある場合は、一旦オイルで水分が蒸発しないように蓋をするのもおすすめです。
    一番NGなのは、化粧水だけ塗って放置してしまうことですので、化粧水を塗った後はクリームなどですぐに蓋をしてあげるようにしましょう。

以上の3つのことを日常で実践するだけでも少しずつ乾燥しにくい肌を目指すことができます。ちなみに界面活性剤はラウリル硫酸~やTEA、PEGなどと表記されているものになりますので、購入の際は是非チェックしてみてください。

参考:大正製薬 – インナーケアコラム 乾燥肌とセラミドの関係は?乾燥肌の人必見の、セラミドが減るNG習慣 より

まとめ

イソトレチノインは難治性のニキビに絶大な効果をもたらしますが、その分副作用にも注意する必要があります。
主な副作用である乾燥は、肌の老化にもつながるためしっかりと保湿や紫外線対策を行う必要があり、発酵食品や食物繊維、ビタミンB2やB6を摂取することで肌を乾燥から守ることもできます。
イソトレチノインは12~16週の治療期間で約9割の人がニキビの改善を実感しているため、繰り返すニキビにお悩みの方は一度椿クリニックにご相談ください。

この記事の監修医師

この記事の監修医師

医療法人社団 育麗会 理事長
椿クリニック 総院長

田邊 俊成

1957年12月30日に埼玉県に生まれる。昭和63年に埼玉医科大学を卒業後、皮膚科医としてのキャリアをスタート。その後、都内の大手美容外科にて技術指導医を務め、美容医療分野での深い経験と専門知識を持つ。

平成19年に独立し、愛知県名古屋市に美容皮膚科「はなえクリニック」を開設。その後、銀座、名古屋、心斎橋に展開する美容皮膚科「椿クリニック」の総医院長に就任。平成25年には医療法人社団育麗会を立ち上げ、都市部を中心に先進的な美容医療を提供している。

田邊先生のプロフィールはこちら

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