ケミカルピーリングは肌のターンオーバーを正常にし、肌にできてしまった色素沈着や軽度のニキビ跡を薄くしてくれる治療です。しかし、ニキビ跡の種類によってはケミカルピーリングでは改善が難しいものもあります。この記事ではニキビ跡の種類と特徴、それに適した治療について解説していきます。適切な治療を選び行う事で、より効率的に肌の悩みを改善していきましょう。
ケミカルピーリングはニキビ跡に効果ある?クレーター肌には?ニキビ跡の種類ごとに解説
この記事を読んでわかること
- ニキビ跡には色素沈着タイプ、赤みタイプ、クレータータイプと種類があります。
- ケミカルピーリングは古い角質を剥がし肌のターンオーバーを整えることで色素沈着や赤み、軽度の凸凹を改善することができます。
- 古い角質を剥がすと同時に、色素沈着により色味のついた角質も剥がれるため、色素沈着タイプのニキビ跡に効果的です。
- 深くなったクレーター状のニキビ跡にはダーマペンによる施術が効果的です。
- ケミカルピーリングの薬剤には種類があり、椿クリニックではグリコール酸ピーリング、サリチル酸ピーリング、乳酸(ラクト)ピーリングの3種類をそろえています。ニキビ跡のタイプや肌の質に合わせて使い分けます。
- ケミカルピーリングは2~4週間に1回のペースで、2週間おきで始めて効果を見ながら、頻度を変えていきます。
- ニキビ跡の改善には、肌の調子を整えるイオン導入や美容注射・点滴との併用もおすすめです。
それぞれの疑問や質問について、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
目次
ニキビ跡には種類がある
「ニキビ跡」といっても、種類があります。
色素沈着タイプ
ニキビ跡のうち、ケミカルピーリングで効果があるのはおもに色素沈着と赤みです。
色素沈着は、ダメージを受けた肌にメラニン色素が定着してしまった状態です。
紫外線や炎症などの刺激から肌を守るために、メラニンを生成するメラノサイトが活発になります。メラノサイトが活発になることでメラニンが生成されますが、本来であれば肌のターンオーバーによってメラニンは自然に排出されていきます。ところが、肌のターンオーバーが乱れていたり、排出する速度を上回ってメラニンが生成され続けることで色素沈着となって肌に定着します。
薄い色素沈着であれば、ケミカルピーリングで改善できますが、色素沈着を放置してしまうと紫外線をどんどん吸収し、色素沈着が濃くなる可能性もあります。そうなってしまうと、ケミカルピーリングでは改善が難しくなることもあるため、色素沈着になってしまったら、早い段階で治療に取り掛かることが綺麗な肌へ改善していく鍵となります。
ニキビの炎症による赤みタイプ
ニキビ跡の赤みは「炎症後紅斑」とも言われ、ニキビの炎症が跡として残り赤くなっている状態です。ニキビの炎症によって毛細血管が新たに作られたことや、拡張していることなどが原因です。ニキビ跡の赤みは時間の経過とともに薄くなっていくことがほとんどですが、より深くまでダメージを受けていると赤みがなかなか消えないこともあります。軽度の炎症による、赤みの残るニキビ跡であればケミカルピーリングが効果的でしょう。
重度の赤みの場合はケミカルピーリングでは改善が難しい場合もあるため、フォトフェイシャルなどをおすすめします。
しかし、状態によってはまだ炎症中の赤みであることもあります。その時のニキビの状態、赤みの程度に対してピーリングの良否は判断が難しいこともあるため、椿クリニックにご相談ください。
でこぼこのクレータータイプ
肌の表面がでこぼこになってしまう「クレーター」は、ごく軽度であればケミカルピーリングで改善することもあるのですが、一定以上のクレーターはケミカルピーリングでの改善は難しいです。
ニキビの炎症が強くなればなるほどクレーターになるリスクは上がります。また、自分で間違った処置をしてしまったり、ニキビを潰してしまうことでもクレーターは深くなってしまいます。深いクレーターになってしまった肌はケミカルピーリングでは改善することはできず、ダウンタイムの長い治療や、痛みの強い治療での改善を目指すことになります。
ケミカルピーリングはニキビ跡の赤みや色素沈着、軽度の凹凸に効果あり
ケミカルピーリングについて解説していきます。
ケミカルピーリングがニキビ跡に効果的な理由
ケミカルピーリングとは、ピーリング剤によって古い角質を剥がし、肌のターンオーバーを整えることで肌を正常な状態に戻していく施術です。
ニキビ跡以外にも毛穴の黒ずみや肌のくすみなどにも効果を発揮します。
肌を正常化していく中で、軽度の色素沈着や赤みは改善されていきますし、クレーター状の凸凹もごく軽度であれば効果は見込めます。
ケミカルピーリングを受ける前に大事な肌準備
ケミカルピーリングは、肌の古くなった角質を溶かし剥がしていく治療のため、肌状態が悪い場合には治療を受けることができません。
具体的には
- 極度に乾燥している
- ニキビが酷く炎症している
- 日焼け直後である
- 花粉症などの影響で肌が炎症を起こしている
などです。
ケミカルピーリングを受ける前には、しっかりと保湿することを心がけ、紫外線を浴び肌が日焼けした直後の場合は炎症が治まってから受けるようにしましょう。また、ニキビによる炎症症状が強く広範囲に及ぶときはケミカルピーリングができない事もあります。
クレーター状のニキビ跡には効果がないケースも
クレーター状のニキビ跡はケミカルピーリングでは対処できないことが多いため、別の治療を選ぶほうが良いです。
クレーター状のニキビ跡に効果を発揮するのが「ダーマペン」という施術で、椿クリニックでも実施しています。
ダーマペンはケミカルピーリングよりさらに強く肌の回復力を引き出す施術で、皮膚の深い部分までアプローチしてニキビ跡のクレーターを改善します。
軽度のニキビ跡におすすめのケミカルピーリング
ケミカルピーリングは赤みや軽度の色素沈着・クレーターを改善するのにおすすめです。
椿クリニックのケミカルピーリングの特徴とは
椿クリニックでは3種類のピーリング剤を揃えていますが、ニキビ跡に特におすすめなのはグリコール酸ピーリング(AHA)というものです。
グリコール酸という成分で肌の古い角質を剥がし、肌をきれいにしていきます。
グリコール酸を使ったピーリング剤は市販されていたりエステでも使われることがあるようですが、クリニック以外でのグリコール酸ピーリングはおすすめしません。
この成分は濃度の規制があり、市販のピーリング剤やエステでは非常に薄い濃度のものしか使えないからです。
ケミカルピーリングの薬剤としてはほかにも、人気の高いサリチル酸ピーリングと、効果がマイルドで刺激も少ない乳酸ピーリング(ラクトピーリング)があり、患者様のお肌に合わせたものを使用いたします。
ケミカルピーリングでニキビ跡治療におすすめの頻度・回数
ケミカルピーリングは、1週間~4週間に1回のペースで受けていただけます。
ニキビ跡治療としてケミカルピーリングを受ける場合のおすすめの頻度や回数は以下の通りです。
- はじめの3回は2週間おき
- その後は月1回のペースで3回~
上記はあくまでも目安ですので、実際のお肌の状態を見ながらペースや回数を決めていくことになります。
ケミカルピーリングは継続的に通う方もいらっしゃいますし、症状が改善したあとも、肌のメンテナンスとして受けていただくのも良いと思います。
イオン導入や注射・点滴の併用もおすすめ
ニキビ跡の改善には、肌の調子を整える治療を併用することもおすすめしています。
イオン導入や美容注射、美容点滴などです。
イオン導入は、ビタミンCやトラネキサム酸などの美容成分を微弱な電気の力で浸透させていく施術です。費用もお手頃で、続けやすい治療です。
イオン導入についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
美容点滴・注射では、美肌系のものがおすすめです。椿クリニックではマシュマロ美肌点滴という点滴があります。ビタミンB群が美肌効果、にきび改善、急性・慢性の湿疹の改善に効果的です。また、ビタミンCによる炎症後の色素沈着改善、美白効果も期待できます。抗炎症作用、抗酸化作用もあり肌の不調を整えてくれます。
ニキビ跡がクレーターになっている場合の治療方法について
前述のとおり、ニキビ跡のクレーターは、ケミカルピーリングでは改善しない場合があります。
クレーター肌改善に効果的なダーマペンとは
クレーターの治療方法としてはダーマペンやレーザー治療が選択肢になるのですが、椿クリニックではダーマペンによるニキビ跡治療をおこなっています。
ダーマペンは、極細針で皮膚に無数の傷をつけることで肌の回復力を引き出すことでニキビ跡などを治療していくものです。
椿クリニックではダーマペン4という機器を使用しており、従来のダーマペンよりもさらに効果が高くなっています。
治療後の肌の反応とケア
ダーマペン治療直後は、治療部位に無数の穴が開いた状態となります。その微小な穴は数時間で塞がりますが、肌が赤くなったり、内出血や熱感・肌乾燥が現れたりします。
治療直後は赤みが出ますが、治療後数日でしっかりと赤みは治まり肌が再生していきます。治療後12時間経ちましたら洗顔・お化粧をしていただいて大丈夫です。
赤みや痒み、熱感が気になる場合にはタオルで包んだ保冷材などで冷やしてください。搔きむしってしまうと新しい傷ができてしまうためご注意ください。
治療後は肌のバリア機能が弱っている状態のため、紫外線の影響を受けやすくなります。また、乾燥もしやすくなるため、紫外線対策・保湿を徹底するように心がけましょう。
ダーマペン選択時の考慮事項
ダーマペンはケミカルピーリングに比べると痛みが強く、ダウンタイムも長くなってしまいます。
また、ケミカルピーリングに比べると費用がかかってしまうので、まずはケミカルピーリングを試してみるという進め方でももちろん大丈夫です。
ダーマペンを選択する際は、長期休暇の前や人に合う頻度が減るタイミングを見計らって治療を受けるのがおすすめです。
カウンセリングでは、お肌の状態を見極めた上で最適な治療法をご提案いたします。
どの程度のクレーターであればケミカルピーリングで対応できるか、どの程度ならダーマペンが良いのかなど、なんでもお気軽に、ぜひ一度ご相談ください。
クレーター肌の原因と対処法
ケミカルピーリングでは治療が難しいクレーター肌が作られる過程や、クレーター肌にさせないためのケミカルピーリングの使い方について解説します。
クレーター肌が作られるまで
クレーター肌は、繰り返し同じところにニキビができたことや、炎症して悪化したニキビを放置しておくことなどが原因で作られます。
ニキビは重度になればなるほど皮膚の真皮層にまで炎症を起こし、ダメージを与えます。
真皮層は肌のターンオーバーに影響されることがないため、時間の経過とともに改善していくことがない部分でもあります。
また、クレーターのタイプは3つに分けられそれぞれクレーターが形成される原因が少し違いますが、主に傷ついた皮下組織で異常な繊維が作られ皮膚が引っ張られたり下に引き込まれたりすることでへこみが現れます。
クレーターのタイプ
クレーターは3つのタイプに分けられます。
①ローリング型
直径5mm〜1cm程度で、上から見たときに円形の物が多いですが、連なりいびつな形になることがあります。
ローリング型は皮下組織に炎症が起こったことで異常なコラーゲンが生成され、皮膚を下に引き込んでいることでクレーターが生じています。皮膚表面の表皮自体は傷ついていないことが多いです。
ダーマペンはもちろん効果的ですが、痛みやダウンタイムが不安な方には、コラーゲンの生成を促すマッサージピールなども効果的です。
②ボックス型
楕円形で縁が垂直に立っており、底面はフラットになっていることが特徴です。
横から見ると四角い形になっていることが、ボックス型の名前の由来となっています。
ボックス型はローリング型と同様に、線維化した皮下組織が皮膚を引っ張り込むことが原因です。
ローリング型と異なり、しっかりと縁が作られているため影が作られやすく、化粧などでカバーしづらいという特徴もあります。
改善するためにはローリング型と同様にダーマペンやマッサージピールなどがおすすめです。
③アイスピック型
アイスピック型のクレーターは直径2mm以下と小さいものが多いのですが、その名前の通り、アイスピックのように深く皮下組織にまで到達することが多いです。
ニキビが長引き毛穴から膿が排出し続けることで、毛穴に沿って皮膚の線維化が進みます。その結果、毛穴が硬くなり小さな穴として残ってしまうことがアイスピック型の原因です。
アイスピック型の治療は難しいですが、ダーマペンで少しずつ改善していくことが可能です。
クレーター肌にしないためのケミカルピーリングの活用
ニキビ跡治療の中で最も困難なものがクレーターですが、クレーターができてしまう前にケミカルピーリングを上手に活用することがでこぼこのない綺麗な肌を保つために重要です。
クレーターはニキビの炎症や重症化を繰り返すことが原因です。そのため、ニキビの状態がまだ軽症のうちにケミカルピーリングによって角栓を取り除くことでクレーターになる可能性を下げることができます。
また、定期的にケミカルピーリングによって肌をケアしてあげることで、余分な皮脂を出さない、角栓を作らせない肌作りも可能です。
クレーターの原因であるニキビを作らないためのコツ
ニキビを作らせないためにはいくつかコツがありますが、簡単にご紹介します。
普段の生活から脂っこい食事や不規則な生活を正すようにしましょう。また、ストレスなども皮脂の分泌を促進してしまうため、リラックスできる環境を作るように心がけてください。
肌に必要な分の皮脂まで取り除いてしまうと、肌が刺激から守ろうと過剰に皮脂を分泌してしまいます。できるだけ脂取り紙の使用は避けるようにし、ティッシュなどで優しく皮脂を押さえ拭きするようにしてください。また、必要以上の洗顔や熱すぎるお湯によって皮脂が取り除かれている場合もあるため、洗顔フォームを使った洗顔は夜のみにし、水またはぬるま湯で洗い流すようにしてください。お風呂から上がった後はすぐに顔を保湿するように気をつけましょう。
今までの生活習慣をすぐに変えることは難しいですが、取り入れることができそうなことから少しずつ変えていくだけでもニキビのできにくい肌を作ることは可能です。
椿クリニックでは、肌ケアに関してもご相談やアドバイスをさせていただけますので、お気軽にお声かけください。
まとめ:ニキビ跡の状態の見極めはプロの目で
ニキビ跡の改善としてケミカルピーリングはおすすめの治療法です。
赤みや色素沈着を改善し、きれいな肌に戻していきます。
しかし、クレーター状の凸凹はケミカルピーリングでは対応できない場合がありますので、その場合はダーマペンなどの別の治療法も検討することになります。
ニキビ跡がクレーターになっているかどうか、ケミカルピーリングが適応するかどうかは、椿クリニックで相談していただければと思います。
よくあるご質問
赤みや色素沈着の軽度のニキビ跡に効果的です。デコボコとした凹凸のあるクレーターやケロイドになっているニキビ跡には適しておらず、ダーマペン治療がおススメです。
色素沈着や赤みのあるニキビ跡は1週間〜4週間に1回のペースで5回ほど継続するとかなり改善されます。クレーターやケロイドになったニキビ跡にはケミカルピーリングでの治療よりダーマペンをお勧めします。
ケミカルピーリングは1回でも肌触りなどの効果を実感することはできますが、シミやニキビの治療には回数が必要なため5回ほど継続が必要です。
ピーリング後の肌は乾燥しやすいため、保湿が十分でないと皮脂の分泌量が増えニキビが悪化してしまします。また、肌表面に現れれていなかったニキビがピーリングにより出てくるため、ニキビが増えたように感じる事があります。